幼児教育・子育てに活かせるテクニック満載。経済学で読み解く世界標準の教育

学力の経済学を読んで学んだことをまとめておきます。
子育て目線で読んでいますのでアウトプットに偏りがあるのはあしからず。



学力の経済学 - 中室 牧子 (著) 学力の経済学 - 中室 牧子 (著)

はじめに

子育て経験はないものの、母親達からよく子育ての相談を受けるという教育経済学者である著者が 日本の教育現場の問題点などを、海外の実験に基づく成功事例と照らし合わせながら分析しています。 前半は教育方法、後半は教育現場についての内容がメインです。

独特の観点が面白く、説得力のある内容になっています。 たまにチラ見せする著者の絶妙な毒舌も面白いです。

ちなみに、著者である中室さんは慶應義塾大学に研究室を持ってらっしゃるようです。

要約

以下は中室牧子さんの著書、学力の経済学を抜粋・要約したものです。

■ 押さえておきたい基礎知識

教育への投資は幼少期ほど高還元

シカゴ大学のベッカー教授の提唱した「人的資本論」に基づく考え方。 生涯の教育から得られる「便益」から、教育にかかる「費用」を差し引いた「純便益」を最大化させるにはいつ投資すべきかというもの。 経済学者の総論からするともっとも収益率が高いのは、子供が小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)とのこと。

人生の成功に重要なのは勉強よりも非認知能力

非認知能力とは人間の気質や性格的な特徴を指す。具体的には「忍耐力がある」「社会性がある」「意欲的である」といったもの。 一般的に「生きる力」といわれるようなもの。 この能力が将来の年収や労働現場における成果のも大きく影響することが明らかになっている。

子供の学力は遺伝と家庭環境で7割決まる

学力の決め手となっている要素のうち、遺伝と家庭環境がそれぞれ3割強を占めていることが九州大学の研究結果で明らかになっている。 遺伝は変えられることのできない要素なので、私たちができることは家庭環境とその他の領域でが学力をあげること。 前者は親の関わり方にかかっている。 後者は、学校などの要素になる。

■ 家庭教育への親の関わり方

目の前の人参作戦はやってよい

テストで良い点を取ることを最終的なゴールとした場合にこれをアウトプット、テストのための勉強をインプットとすると インプットにご褒美を設定した方が、結果が良くなることが実験で証明されている。 これは後者の方が実際に何をすれば良いかが明確で、子供が理解しやすい目標であったためである。

ご褒美の内容に関しては、子供が小さなうちはお金よりも具体的なトロフィーなどのほうが効果が高い。お金よりもトロフィーが子供のやる気を刺激するからである。

お金は元々の目標に対する内的インセンティブが失われやすいものなので扱いに注意が必要。お金が報酬になったことによりやる気がなくなることもある。

ご褒美を与えるタイミングは時間割引率の観点からするとより早めの方が良く、やる気が削がれにくくなる傾向にある。

褒めて伸ばしても良い

褒めて伸ばすのは自尊心を尊重する行為なので悪くはないが、人格を褒めるのではなく行為を褒めることが重要。 むやみやたらに褒めるとナルシストが育ってしまう。 子どものもともとの能力 ( =頭のよさ )をほめると 、子どもたちは意欲を失い 、成績が低下する とあるが、これは子供たちのテストの取り組み方にも影響する。能力を褒められた子供はできること、出来ないことを能力が原因だと考えるが 過程を褒められた子供たちは、過程に関してねばり強く取り組もうとする。

テレビ・ゲームは一定時間を超えると悪影響

テレビやゲームが肥満や暴力などの問題行動との相関関係について、発表はされてはいるが因果関係は明らかになっていないのが事実。 これらと因果関係がある要素は学習時間であり、これは研究データで明らかになっている。 この影響が大きくなるのは1日あたり2時間を超えてからであり、それ以下はまったくやっていない人と比べて変わりはない。 また、全てを禁止したとしても、男子で最大1.86分、女子で2.70分しか増加しない。

理由はこれらをやめたとしても、結局他のこと(例えばインターネットや漫画など)で時間を使うようになるから。 強制的にやめさせたとしても根本解決にはならない。

「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い

手軽な対策に効果はない。親が辛抱強く子供の勉強に付き合うことが重要。女子ならば母親、男子ならば父親の方が効果あり。 ただし、親以外の身近な第三者でも同様の効果が見込めることが明らかになっている。 「勉強しなさい」だけでは勉強はしない。

■ 学校教育の環境

悪友は貧乏神(仏教由来の言葉)

子供や若者は、飲酒・喫煙・暴力行為・ドラッグ・カンニングなどの反社会的な行為について、もっとも影響を受けやすいのは友人から。 親としてできることは環境を強制的に変えること。対策としての極論は引っ越しになる。 学級に存在する問題児が原因で学級全体の学力が低下した例もある。

学力は周りの生徒のレベルに影響を受ける

学力が高い友達の中にいると自分の学力にプラスの効果もあるが、周りが高すぎると返って意欲をなくしてしまうので逆効果。 適度なのは自分より少しできる人が周りにいる環境。とくに女子が多い方が効果が高くなることが確認されている。

良い先生に出逢えたかどうかで伸びが変わる

子供の学力は遺伝と過程環境で7割決まるが、それ以外の問題可決のポテンシャルを持つのは教員である。

まとめ

書籍の内容

日本の学校教育の現状と、それに対して親がどうやって関わっていくべきかが明確になった一冊でした。 ご褒美の与え方、テレビ・ゲームとの付き合い方、悪友・問題児への対処法など具体例や海外の研究結果が引き合いに出されており 具体的にどうすることが正解なのかがわかりやすく解説されていました。 受験勉強をする年になってもまだまだ精神的には子供であり、親のサポートが必要なのだと感じます。 問題児や悪友と子供が関係が出来てしまった場合の対処が一番の難点になると予想ができます。 極論は引っ越しですがさすがにそこまでは出来ないので、もしそうなった場合の代替案を早めに検討する必要がありそうです。

非認知能力

IQでは測れない、非認知能力という概念がとても印象的でした。 一流大学出身でも実際の職場に配属されると活躍できない人をたまに見かけますが、そういった人はこの能力が不足しているのではないかと思います。 この能力は勉強をしただけでは鍛えることができないからです。 この能力アップが個人的に一番鍛えられそうだなと思った環境は、忙しい居酒屋のバイトとか子育てかと思います。 子育ては準備が色々必要ですが、バイトはいつでもできるので、この悩みを抱えている人はぜひ居酒屋のアルバイトにチャレンジしてみると良いかと思います。

伝えるのは学ぶことの楽しさ

子供には勉強をさせるのではなく、学ぶことが楽しいというのを伝えるべきだと思いました。 テストで良い点をとることをゴールとするよりも、学ぶことの楽しさを味あわせてあげた方が結果的に勉強する子になるからです。 本人もそのほうが自分の意思で勉強することになるので、やらされ感がなくてモチベーションに繋がりそうですね。 親がテスト結果に一喜一憂するのは無意味です。テストはその名の通りただのテスト結果にしか過ぎないのですから。

さいごに

中室さんの人間性が垣間見えて面白い本でした。きっとたまに毒を吐く面白い方なんじゃないでしょうか。 また中室さんの本が出版されたら読んでみたいです。


学力の経済学 - 中室 牧子 (著) 学力の経済学 - 中室 牧子 (著)



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